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個人輸入代行の『舶来屋』がお薦めする「 矢野 真千子 」関連の書籍をご紹介しています。


著書名 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか
著者名シャロン モアレム, ジョナサン プリンス,
出版社 日本放送出版協会
ASIN 4140812567
装丁 単行本
価格 ¥ 1,890
感想文概要:私たちの体内で繰り広げられる遺伝子競争
本文: 私たちの意思などにはおかまいなく人間の体内で繰り広げられる様々な遺伝子の激しい生き残り競争。これこそ病気の実態なのである。


概要:かなり残念な本
本文:前半の進化医学に関する説明はかなり良くできている。イーワルドの主張の繰り返しもあるが、実例をしっかりあげ、論理も説明も明快で進化医学の入門書としては素晴らしい。

問題は後半にある。まず驚くのが、「種の保存のため」というナイーブな群選択説(純朴な、稚拙なとも形容される)を信じていること。群選択にまつわる議論はここ40年〜20年前のホットトピックだが、彼はその事を知らないようだ。彼の回りに種の保存論の論理的誤りを指摘してくれる人はいなかったのだろうか。種の保存論を信じていると、生物の社会性を論じるときに大きな過ちをおかすことになる。

次に突然変異に方向性があるという説。それ自体は度々主張されるから目新しくないが、本書のユニークな点は「遺伝子と形質が一対一で対応していないから」という的はずれなもの。遺伝子の多面発現性は古くから知られていたし、多面発現することと変異に方向性があるかどうかは全く別。
その後エピジェネティクスの話になるとまたまともに戻るのだか、変異の方向性と種の保存論という致命的な誤りは痛すぎる。
この二つがなぜどう間違いなのか分からないであろう初学者にはおすすめできない。

概要:糖尿病は不凍液作りだった
本文:遺伝と病気の関係なんて、いかにも面白そうなテーマである。

遺伝病のかなりは実は現在と異なる環境からの淘汰圧による進化であるそうな。書いてあった一番面白い例は、糖尿病は氷河期には有利に働いたというものだ。糖分の多い血液は氷点が低く、氷河期で凍傷にあう確率を減らす。糖尿病による合併症のリスクより、低体温のリスクの方が大きかった氷河期には、糖尿病の遺伝子は正の淘汰圧を受けて増加した考えると、糖尿病遺伝子を受け継いでいる人が多いことが説明できる。他にも鎌状赤血球とマラリアの例とか、鉄分の溜まる遺伝病と中世西欧のペストの流行の関連とか、例が豊富で面白い。

次に、病気の遺伝子と宿主の遺伝子の競争進化と言うか共進化と言うかの面白い例が並んでいる。ドーキンスの「延長された表現形」だよなあと思うのだが、お尻に卵を産む寄生虫は、お尻を痒くすることで、宿主にお尻をさわらせるとか、アリを経由する羊の寄生虫に寄生されたありは、羊に食べられやすいように牧草の葉の先端に行くとか。

伝染病の制圧を病原体と人との間の軍拡競争を起こす抗生物質に頼るのでなく、病原体の伝染経路に適当な淘汰圧を加えることで弱毒化する、なんてアイデアも思白かった。例えば、コレラが致命的なのは、宿主が死んでも強烈な下痢を起こさせることで伝染しやすいからだ。衛生観念を進めて、吐瀉物や下痢を適切に処理すれば、宿主を簡単に殺すような強毒性の菌はむしろ淘汰されて、コントロールしやすい弱毒性の菌が主流になる。そうなると、病気との共存が簡単になるという考え。風邪はなぜそんなにひどくならないか、マラリアにかかるとなぜ動けなくなるか、などが伝染経路と関係があり、そこに淘汰圧をかけるなんてプランも書いてある。

最後の方は遺伝子発現のコントロールが後天的にできる(エピジェネティック)お話とか、人類水中進化説とか、少々雑駁になってくるが、さすがは専門家とクリントン大統領のスピーチライターと共作。語り口がうまくて飽きさせない。

最近の生物学の進歩の面白さを実感させる本であった。大変お薦め。

概要:グールドが正しかったということか?
本文:従来は、人間が変異するのは偶然の結果だとされてきたのですが、最近はそうではないことが分かってきました。ある変化圧力がかかると人間の遺伝子はすさまじい勢いで変化するのです(特にそういった遺伝子を「ジャンピング遺伝子」と呼びます。つまり変異とは偶然の産物ではないのですね。

どうしてそんなことが起こるのか?

人間のDNAの少なくとも8%は、もともとウィルス由来だったと言うのです。ウィルスの中にはレトロウィルスと言って自分の情報を人間のDNAにコピーしてしまう能力を持つものがいるのです(エイズウィルスがそうです)。そして彼らは人間の細胞を乗っ取るわけなのです。で、人間はレトロウィルスにただ乗りされるだけか、と言うとそうではない。ウィルスと言うのは人間の何百万倍ものスピードで進化・変異することができるのです。で、人間と一体化した彼らは、環境の変化等で危険が迫るとすさまじい勢いでそれに対応しようとするのです。

その結果、人間とウィルスは共存共栄を果たしたということなのです。

つまりたまたま変化に対応できたものが生き残った、というのは間違いで、遺伝子が変化に応じて一生懸命はたらいた結果、環境圧に目的的に適合したということなのですよね。

以前進化生物学者のスティーブン・グールドは「パンダの親指」で、通説の「進化とは2段階(原材料であるランダムな変異と、方向付けの力となる自然淘汰)から成るプロセスで、進化的変化は一般に緩慢、着実、漸移的、連続的なものだということ。」という見方を批判して「化石記録には中間的段階を示すような重要な資料が極めて乏しい」のはおかしいと指摘していました。

ですが、本書の指摘によってグールドが正しかったことが分かります。

私たちが今あるのは、偶然の産物などではなく、残るべくして残ったんですね。すごいことだなあと改めて生命の偉大さを感じました。

概要:特異な進化論エンターテイメント,ただし誤読に注意!
本文:米国の進化医学者による書の邦訳版.一見すると病気を引き起こすための『迷惑な遺伝子』(著者自身ももっている)を紹介し,それらがなぜ存在しているのかを説明し,進化のおもしろさ,すばらしさを述べている.同時に,最近わかってきた遺伝形質の伝達や,トランスポゾンなどによる劇的な形質の変化,または外的要因による遺伝子の働きの変化(エピジェネティクス)も紹介している.難しい内容だが,ウィットに富んだわかりやすい表現を用いているため,250ページの分量も,高校生以上であれば数日以内に読破可能で,広い読者層が対象.

第一感は『おもしろい!』である.身近な不思議にはじまり,それを合理的に考察することで,一見不条理な現象をきちんと説明できることを体現しているため,全く退屈せずに知識の欲求を満たすことができる.話題も多岐にわたり,寄生虫やウイルスの不思議な性質だけでもおもしろいのに,それをきちんと説明していることでさらに満足感が得られる仕組みだ.最終的には,病気に対してどう考えるか,人類の持つ生への欲求とはどうあるべきか,あるいは合理的な思考とは何かという問いに対する著者の考えも紹介されている.たとえば,不老を最初に会得した体細胞が癌であることなどが好例である.

難点は,誤読(誤解)されそうな表現が多々見られることである.たとえば,細菌などの振る舞いを擬人化しているために,謝った解釈が起こる点を危惧する.厳しい環境におかれた細菌が『がんばって生きようと考えて』進化するかのような表現は科学者が論文でしばしば見せるユーモアであるし,そのような環境にさらされた細菌が自身を変化させるというよりは,たまたまうまく変化した個体(数億分の一か,数百億分の一か)だけが滅亡した他の個体の隙間を埋める権利を与えられていることを正しく理解しなければ,著者の全く意図しない,オカルトのような思考が広まる可能性がある(すでに勘違いしているレビュアーの方もいる).また,一部の主観的な考察も事実のように見えてしまう部分がある.一卵性双生児の一方が癌になった話などは推測もあり,注意が必要だ.

きちんと読めば,きわめて有用な書であり,今後の医学がすすむべき道,あるいは病気に対する適切な考え方を学ぶことができる.さきの問題点を危惧して星4つにするか迷うも,情報のおもしろさ,読みやすさや,参考文献がきちんと示されている点などから星5つとする.

著書名 雪の結晶
著者名ケン リブレクト
出版社 河出書房新社
ASIN 4309252265
装丁 単行本(ソフトカバー)
価格 ¥ 1,575
感想文概要:きれいな本
本文:きれいな結晶写真が想像通りの本でした。
結晶する過程などの説明もあって、見るも楽しく知るも楽しい。
この本には独自の解釈でねじ曲げたようなおかしな説明もなく
先入観を持たずに素直に楽しめます。

概要:空からのおくりもの
本文:「雪の結晶」をクローズアップし、色々な結晶の形を豊富な写真で紹介しています。
図案としての雪の結晶ではなく、実物の結晶の写真はなかなか目にする機会はなかったのですが、雪の結晶って、こんなにいろいろな形があったのか…と驚き。

どのようにして結晶が形成されていくのか、結晶の分類や結晶の形状と温度との関係など、科学的な解説もされている学術的な専門書ですが、
科学・気象に詳しい知識を持ち合わせていなくても、美しい写真を見ているだけで十分に楽しめ、癒されます。
街の書店で「自然科学」「気象」の専門書コーナーだけではなく、アート系の写真集のコーナーにも置いてあるのを見かけましたが、それも頷けます。

概要:「雪の結晶は天からの手紙である」(中谷宇吉郎)の意味が良く分かるカラー写真&解説
本文:世界を代表する雪氷博士・中谷宇吉郎先生の名言に「雪の結晶は天からの手紙である」というものがあります。雪の結晶の形を良く観察すると【中谷ダイヤグラム】の観点でその雪結晶の成長過程(温度と過飽和度の履歴)が推測できるわけです。本書は、まさに雪の結晶形の謎解きを行っています。どの雪の結晶の顕微鏡写真(オール・カラー 250点以上)も溜め息がでるほど美しく、それらがどの様に出来たモノかが簡潔明瞭に説明されています。こうして一つ一つ丹念に説明を読むと中谷宇吉郎先生の名著「雪」(or 「雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集」)で語られていた内容がより一層深く理解できますね。(^-^)v
内容のレベルとしてはそれ程難しくありません。理科に興味がある高校生以上なら十分楽しめるでしょう。(なお大学生以上の方には「結晶は生きている―その成長と形の変化のしくみ」(黒田 登志雄)が結晶成長の入門書としてお薦めです) 英語が読める方は本著者Libbrecht教授のウェブサイト("Snowflakes and Snow Crystals")をご覧になると更に楽しめます("SnowCrystals.com"で検索すると見つかります)。美しい写真が満載です!o(^o^)o
本書の内容が理解できれば「水は答えを知っている」という都市伝説(似非科学)に惑わされることはないでしょう。(→詳しくは"Skeptic's Wiki"サイトの「水は答えを知っている」の解説や「水はなんにも知らないよ」をご覧下さい。実際、Libbrecht教授も上記のWEBサイトの中で この都市伝説をご批判されておられます(→ "Myths and Nonsense... Fact and Fancy in the world of ice and snow ..."のページをご参照)。

著書名 感染地図―歴史を変えた未知の病原体
著者名スティーヴン・ジョンソン
出版社 河出書房新社
ASIN 4309252184
装丁 単行本
価格 ¥ 2,730
感想文概要:糞尿処理
本文:メインテーマとは違うかもしれないが、19世紀のロンドンの不潔さの描写がすばらしいと思った。下水装置のない状態で人々が都市に集まったらどうなるか? 将来の日本でも、エネルギー不足、労働力不足などで現在の下水システムを維持できなくなったときどうなるか、ぞっとする。この本以来、毎日の大小便のたびに今の世の中のありがたさを思う。


概要:原因不明の疫病を解明した偉人伝も、著者の思い入れが強く割り引きが必要か
本文:米国の人気コラムニストによる書の邦訳版。1854年夏にロンドンで大発生した疫病の原因を、地道な観察によって明らかにした医師スノーと副牧師ホワイトヘッドの偉業(特に前者について)を、過去の記録文書に基づいたドキュメンタリータッチで紹介した書。原因不明の疫病コレラについて、細菌の存在さえわかっていなかった時代、疫病が汚染された空気によって伝搬すると信じられていたが、観察によってこの説が怪しいと直感したスノーが独自の観察と調査によって、特定の井戸が原因であることを突き止める。本文約270ページの分量で中高生以上が数時間〜数日かけて読むべき内容。

本書には疫学の基本的な考え方、疫病についての知識や科学リテラシーに関する重要な教訓が多く詰め込まれている。偉人物語というよりも、短絡的な思考に走る現代人への警鐘にようにも感じられた。医師スノーのすごい点は、19 世紀の医学にとっては悪魔の所業に帰結する短絡的な思考がはびこってもおかしくない、全く原因不明の疫病が蔓延している状況において理性的な調査と思考を停止しなかったことにつきる。途中に登場する彼への批判や無視に対する著者の意見は、逆の意味で似非科学を信仰する者が多い現代社会へのアンチテーゼであろう。本書の大半はコレラが流行した数日間についての記載であるが、いい推理小説は結末がわかっていても読み応えがあるのと似ているかもしれない。

本書の難点は、ドキュメンタリーのような構成になってはいるが、過去の文書をまとめた著者が主観的な意見や脚色を大幅に盛り込まれている点である。例えば、同時期に調査を行った公衆衛生局長の広範な調査内容について、本著者は『真実を見いだすのは困難』とし、井戸の調査のみを行ったスノーの調査をすばらしいとしているが、疫学の基本から考えて前者の方法の方が適切であるように思える(もしスノーの説以外に原因があった場合にも有用である)。しかし、本著者は前者が空気伝搬説を支持してスノーに批判的であったことを挙げ、この局長の方法が全く的を射ていないと糾弾している。他にも著者自身の思い入れの強い事柄を事実以上に強調している部分が多く、純粋なドキュメンタリーとして理解するのは危険かもしれない。また、このせいで、書全体がやや冗長となり、読破した爽快感はさほどではない。

上記問題点を考慮して星4つの評価も、万人に積極的に推奨するにはもう一歩と感じた。

概要:都市化が人間にとってプラスに転じた契機
本文:社会が瘴気説(病気の原因は“におい”だとする説)に凝り固まっていた時代に、おそろしく地道な作業によって、コレラの伝播は井戸水が原因だと指摘した医師ジョン・スノーと教区牧師ホワイトヘッドの物語です。1854年のロンドンにおけるコレラ伝染における彼らの努力を述べたのが本書です。

スノーはどの家がどこの水道会社の水を使っているか、不潔で伝染病患者が溢れるロンドンの街で、一軒一軒尋ねて聞き込み調査をしました。

そもそも井戸水が原因だと誰も思っていない状態で、死の街で聞き込みをしたのです。その努力に対しては心の底から尊敬します。スノーはすでにこの時代、麻酔医として成功者の地位にあったのに、自分は安全な高みにいて知らん顔をするのではなく、現場で徹底的に調査をしたのですから。こういう人たちのおかげで、医学は発達してきたのだということがよく分かる本です。

そしてさらにいえば、そのおかげで、そのままなら人間にとっても環境にとっても悪影響が重くのしかかるはずだった都市での生活が、一転して健康を伸長させる場所となったのです。つまり都市の生活者のほうが医療機会が豊富で、かつ、女性に就業機会が与えられ土地の値段が高いことから、人口の抑制が行われるということです。

著者は都市化の流れを「人間にとっても環境にとっても不健康に向かう流れだ。だが、それを克服して転換に成功した国は、その転換期に膨大な犠牲を出しながらも、現在は地球上で最も豊かで長生きできる場所となったのだ。」とまで述べています。

そしてその転換の舵取りは、1854年のこのコレラの発生と終息に向けた努力の結果においてなされた、という主張はとても面白いですね。

なお、これらの課題が克服できていない途上国の大都市においては、19世紀のロンドンの悲劇が再び起こる可能性があることを著者は指摘しております。

概要:致死的な細菌と、急成長する都市、そして天賦の才を持った二人の男
本文:新聞の書評を見て「エピデミック」と共に購入。

この物語には、致死的な細菌と、急成長する都市、そして天賦の才を持った二人の男という四つの主役が登場する。百五十年前のある一週間、底知れぬ恐怖と苦痛に見舞われたロンドン、ソーホーにあるブロード・ストリートで、この四つの主役たちは交差した。
―― 『感染地図』の「はじめに」より

と言うことで、1848年にロンドンの下町であるソーホーにあるブロード・ストリート−急成長する都市−で大発生したコレラ−致死的な細菌−の感染源を“天賦の才を持った二人の男”こと医師ジョン・スノーと牧師ヘンリー・ホワイトヘッドが画期的な統計調査で感染源を特定しついにはコレラのていくスリリングな“探偵”物語。

当時は最近やウイルスと言う概念はなく「瘴気説」という「悪い空気が病気の元」と言う説が主流だったが、ブロード・ストリートで発生したコレラをに関する情報を徹底的に収集し調べるうちにジョン・スノーは奇妙な点に気付く

・発生地区のど真ん中にあって死者が出ていないビール工場。
・三方がコレラ死亡者の家屋で囲まれていたにも係わらず、ブロード・ストリートの共同井戸ではなく市の給水と院内の井戸水を使用していたので救貧院での死者が535人中わずか5人だけだった例。
・コレラで死亡した弟の家へ来てブロード・ストリートの共同井戸の水を飲んだ兄が、翌日の夕刻に発病した例。
・ブロード・ストリートの共同井戸の水を送って貰っていた郊外の一家のコレラによる死。

そこから導かれる答えは当時としては非常に画期的なブロード・ストリートの共同井戸による「飲料水感染説」でした。
仮説を立てたスノーは立証の為にブロード・ストリートの牧師ヘンリー・ホワイトヘッドの協力を得て、まず一軒一軒の家を訪ね死亡者の発生場所を地図上に記入し、彼らの行動をつぶさに調べていくと“死者の声なき声”はブロード・ストリートの一点を指していた。
次の週、スノーとホワイトヘッドは委員会に井戸の閉鎖を提案し多数決で認められ、ブロード・ストリートで猛威を振るったコレラは収束へと向かっていくのだった。

その後の追跡調査でもコレラ感染者はこの井戸を飲用していたことが判明し汚染源が完全に特定される。
井戸のすぐ側の隣家地下の汚物溜から汚物が井戸に混入していたのだった。
「コレラは飲み水に潜んで人にうつる」かくしてスノーとホワイトヘッドは現代に通用する「疫学」の始祖となった。

コッホが病原体としてのコレラ菌を発見する35年も前に、細菌学や顕微鏡など何も効果的な武器のなかった時代に、ただ唯一の足と頭と言う武器だけで感染源を特定し、「瘴気説」と言う世の中の常識と未知の致死的な病気と戦った偉大なる先人たちの記録。

「スノーをよく知る人はみな、彼がどんな犠牲も危険もかえりみず調査を続ける男かを知っている。コレラがいるところ、つねにスノーありだった」

著書名 ES細胞の最前線
著者名クリストファー・T・スコット, 矢野 真千子,
出版社 河出書房新社
ASIN 4309252036
装丁 単行本
価格 ¥ 2,520
感想文概要:胚性幹細胞を初心者から理解できるように配慮した解説
本文:携帯電話やパソコンよりも進化の早いものは何?と訊かれればES細胞(胚性幹細胞)
と答えます。急速に発展している科学領域です。

まず胚性幹細胞とは何か?それは身体のあらゆる臓器、血球成分などに分化できる
元の細胞、ジョーカーのような便利な細胞の事です。分化する前のあらゆる可能性を
秘めているので幹細胞と呼びます。

この幹細胞が現在どれくらい人工的に作ることができるのか?を提示したのが
本書です。
まだ始まって10年程度の科学ですが、急速な進歩のためトピックスは満載です。
クローン羊ドリーの話題から人間の臓器では現段階ではどれくらい人工的に
できるのか?ラットやショウジョウバエではどれくらい人の遺伝子を組み込み
研究がおこなわれ成果をあげているのかなど報告しています。

また内容的には医学専門用語を最低限度に抑えて初心者にも理解できるように
解説しています。
単純にタンパク質はどのように合成されてDNA,m-RNAとは何んぞや?レベルから
解説していますので難しいと危惧される心配はありません。
むしろ平易な文章です。

当然、生命倫理などの課題に関しても著者はその見解を述べています。
しかし科学ジャーナリストにありがちな生命倫理を楯に取りその研究者を
批判する陳腐な内容とは一線を画した素晴らしい内容となっています。

概要:いま最も必要な情報をまとめた一般向け啓蒙書
本文:ES細胞。話題になっているけれど、あまりよくわかっておらず、むしろ捏造によるスキャンダルから「ES細胞は夢にすぎない」という「失望」のイメージだけがインプットされており、半信半疑の気持ちで購入しました。

とてもよかったです。

私だけでなく、みんなよくわかってなかったのですね。(まずはほっとしました)

クローンと言えば、ヒツジのドリーを思い出しますが、それとES細胞とはどう関係があるのか。
似て非なるものなのですが、みんな混同し、混乱してるのでしょうね。
そして、混乱したまま「ヒトの生殖クローニングに不安をいだいている」(ドナルド・ケネディ)状態であり、それがあおられています。
ドナルド・ケネディが「はじめに」で推薦しているように、だれかがわかりやすく説明する必要があるのですね。

一般の人が、似て非なるものを混同して混乱に陥り、
さらに、悪意なのか、それともやはり混乱してるだけなのか、
無責任とも思える外野が不安を煽る構図、というのは、
いろいろな分野でよく見られるように思います。
そういう中で、バランスよく、本質をわかりやすく説明することの意義深さを感じますね。

これは、そんな本でした。
「注目される話題だけを表面的に並べた」本ばかりが多い(らしい)中で、ES細胞と幹細胞とが正しく理解できるように書かれています。

「幹細胞とは何だろう
 ES細胞と体性幹細胞をめぐる論争のポイントは何だろう
 幹細胞のどんな発見が実際の治療につながるのだろうか
 ES細胞研究をどんどん進めると、やがてクローン人間が出現するのか」
実際の医学に何がどう応用できそうでどんな希望があり、何は難しいのか、そういうことが自ずと理解できてきますね。
と言いますか、やはりちゃんと基礎から学ばないと、わからないことでした。


今、話題になっていることであり、とても期待したいことであり、かつ(倫理的に)とても考えさせられる内容でした。


著書名 恋するアーユルヴェーダ
著者名リサ・マリー コフィー
出版社 春秋社
ASIN 4393364872
装丁 単行本
価格 ¥ 1,680
感想文概要:ズバリ言われました! ってかんじの本
本文:アーユルヴェーダのことはよく知らなかったけど、それでも面白くて一気に読んでしまいました。落ち込むのはどういうときか、なんで恋愛がうまくいかないのか、自分の考え方の癖みたいなものをズバリといいあてられて、びっくり! それについての対策ものっているので、前向きになれます。ストレスをためない食生活とか、セックスとか、かなり実生活で「使える」情報がはいっています。それにしても、女性がこんなに恋愛に頑張ってること、世の男性は知っているのだろうか…?? 乙女心に鈍感な彼に一読させるのも、この本の活用法のひとつかも。

著書名 ダーウィンが信じた道―進化論に隠されたメッセージ
著者名エイドリアン・デズモンド, ジェイムズ・ムーア,
出版社 日本放送出版協会
ASIN 4140813814
装丁 単行本
価格 ¥ 3,255
感想文概要:
本文:

著書名 「できる」子どもの育て方
著者名メル・レヴィーン
出版社 ソフトバンククリエイティブ
ASIN 4797323469
装丁 単行本
価格 ¥ 1,890
感想文概要:「書く」ことに焦点をあてる。
本文:『〈できる〉子どもの育て方』というタイトルが、僕の目に飛び込んできた。
子どもを育てるというよりも、自分自身を育てる意識で、この本に関心を寄せた。
「能力の成長に、何が、必要なのか?」
読書は、大切な要素である。
その読書を発展させる上で欠かせないのが、「書く」という行為であることを本書で学んだ。

p11〜13 なぜ「書くこと」なのか
なぜ「書くこと」は、学校の評価で重視されるのだろうか。それは、さまざまな脳の配線を総合的に使う能力を育てる手段として、「書くこと」以上のものがないからではないか。(中略)古いことわざにもあるように、自分が何を考えているかはそれを書き出してみるまではわからない。書くことは、どうしたら自分の考えを他人に伝えられるかをじっくり考える機会でもある。

p269 紙の上で考える
書くことは、自分の心の中をこじ開けることでもある。考えを紙に書くためには、いやでも何かを考えなければならない。心の中から引っぱり出してこなければならないからだ。

子どもの育て方の本を読んで、大人の僕が、「学び方」を学んでいる。
「テレビなど、受動的な娯楽を制限する。」や「刺激が強すぎる娯楽を控える。」など、入力「読むこと」と出力「書くこと」が子どもの教育に大切なことを、小児医学の教授メル・レヴィーンは説いている。

著書名 危ない食卓 スーパーマーケットはお好き?
著者名フェリシティ・ローレンス
出版社 河出書房新社
ASIN 4309204414
装丁 単行本
価格 ¥ 1,890
感想文概要:食の安全性を考え、地球環境も考える
本文:海外旅行を安く済ませるにはスーパーマーケットは強い見方ですね?

この本は、イギリスのスーパーの商品流通システムに関する暴露本だと知り、手に取りました。
イギリスに滞在していた時に、行った事のあるスーパーが取り上げられていたからです。
読み進むうちに、怖くて何も食べられなくなるなぁと思いました。
どんな過程で加工されたか分からない肉、長距離輸送で栄養価の落ちた食品、
細菌が繁殖したサラダ、添加物まみれの食べ物・・・
裏側には 利益追求・システム優先の企業と安さを求める消費者の責任が見えます。
また、輸送による燃料の大量消費と温暖化なども取り上げられています。

イギリスの事ではありますが、日本も他人事では無いと思います。
普段何気なく食べている食品の裏事情は似たような物であろうと想像できます。
産地偽装表示、古い食品の使いまわし、賞味期限の付け替え等、ニュースでも取り上げられていますね?

安全であり、また環境に優しい食べ物とは?と深く考えさせられる本です。


著書名 小さな地球の守り方
著者名ジェームズ・ブリュージェ
出版社 祥伝社
ASIN 4396500874
装丁 単行本
価格 ¥ 1,365
感想文概要:分かりやすくて幅広い
本文:タイトルから分かるように、環境問題に関心の有る人にお勧めしたい。環境問題の中でも、地球温暖化から地域通貨や戦争の話まで、かなり幅広く網羅されている。しかも、言葉が平易で分かりやすいので、誰でも気軽に読める内容になっている。ただ、やや悲観的で危機感をあおる内容になっているので、入り口には不向きかもしれない。地球の守り方と書いてある割には、具体的に守る方法まではあまり書かれていない。それでも、その幅広さと簡単さはとてもバランスがよく、どんな人でも読める良い本だと思う。

著書名 解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯
著者名ウェンディ ムーア
出版社 河出書房新社
ASIN 4309204767
装丁 単行本
価格 ¥ 2,310
感想文概要:科学の人やね
本文:仮説を立て、実証し、技術を確立する。
教会や教義絶対主義的な保守派に敵対視されながらも、しかし結果を出すことで
若い医学生や貴族の理解者を次々と得て、死体売買というタブーに手を染めながらも
学会で確固たる地位を確立して、ついには王室医まで上り詰めてしまうのは、
読んでいて痛快の一言に尽きる。
それでも旧守派と宗教勢力の影響力は強く、医学の発展がものすごく遅れたという事実は
盲信に対する恐怖感を抱かせる。
ジョンの思想などはその弟子たちに受け継がれ、ジェンナーを筆頭に素晴らしい
展開を見せてゆく。
当時の状況もあるのだろうが、行き過ぎた宗教は毒にしかならない。

自身や家族が献体を考えている人は、是非読んでいただきたい。
その意義を深く理解できるであろう。

概要:抜群に面白い!!
本文:抜群に面白いですね!
書の中に引き込まれてしまいます。

「奇人まみれの英国でも群を抜いた奇人」
「ジキル博士とハイド氏のモデル」(正しくはモデルになったのは家)
のインパクトに、
「近代外科医学の父」
の肩書の印象は全く薄れ、
「面白そうなんだけれど、猟奇的に人を切り刻むヘンタイなんじゃないか、趣味悪そう」と二の足を踏んでいたのでした。

しかし、山形浩生さんが解説しているのと、訳者は矢野真千子さんじゃん、しかも訳者あとがきを読むと「こんなに面白い本に出会ったのは久々で」「訳出作業を終えた時も、「もっと訳したいのに」という名残惜しさ」の言葉が決め手に。

そして読み始めてみると、確かに奇人ではありますが、まさに「近代外科医学の父」の称号がふさわしい!
「悪趣味な印象を与える宣伝をしやがって不愉快だ」と思って見直してみると、ちゃんと「近代外科医学の父」と書いてあるし、偏見をもったのは私の方だったのですね、、(-o-;)
たいへん失礼。

人をモノのように扱い、痛みのわからぬ輩かと思いきや、さにあらず。
むしろ、手術をするのは最後の最後の手段であり、患者を生かすためにできるだけ手術を避けていたこと。
瀉血が信じ込まれていた時代にあって、伝統に一切とらわれず、仮説を立て観察・実験により検証する科学的アプローチを押し進めたところが、尊敬に値します。
そしてその飽くなき探究心・好奇心。発見と驚きに満ち、なんと話題豊富な人生か。よくも一人の人物の生涯にこれだけの話題があるものぞ、と思うぐらいです。

それにしても、いやー、まったく私、無知でしたね。
これほどの人なのに、今までジョン・ハンターなんて知りませんでした。
その外科医学に及ぼした影響がいかに大きいか。
ジェンナーも、この人の弟子だったとは驚きました。



概要:偉大な偉人
本文:第1章を読んで一気に読み終えてしまいました。読んだ後に「もっと読みたいのに・・。」と思うほど面白い本でした。
勉強が嫌いで学校は中退。兄の助手をはじめてから才能を発揮し解剖のための死体確保する為墓泥棒など闇の世界に手を染めていて短気で下品でがさつだけど手術の腕は超一流!ドリトル先生のモデルになり屋敷は「ジギルとハイド」のモデル。ダーウィンより70年も前に進化論を確信していた男。
金持ちには高い報酬を要求し貧乏人はただ同様。(手塚治虫のブラックジャックは彼をモデルにしたのかな?とふと思いました)
でも、貧乏人をただ同然で治療するのは彼にとっていい実験材料だからだけのことで別に貧乏人同情してるわけでもない。
自分で検証、実験、証明したことを信じ実行する。伝統や通説などどこ吹く風!型破りな解剖医の生涯。イギリスの医学会や墓泥棒等当時のイギリスを知る上でも面白くお勧めの1冊です。


概要:ドリトル先生のモデル?
本文:ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生」は、このジョン・ハンターをヒントにしているとの説が書いてあったのでびっくり。自分の屋敷にいろいろな動物を飼っていて、ワニもいたという設定は、同じです。しかし、これだけ精力的に手術、解剖に集中できるってことは、気力、体力、知力がよほど秀でていなければできないことですよね。軍医としての働きでは、傷口を無理矢理に治療しないで、安静にしておいた方が治りが早いことを見つけ出すところなど、出来事を素直に観察し、結論を出していく科学者としての姿はすばらしい。




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